女性用アダルトグッズ

↓↓↓↓↓↓百貨店でバカ売れ↓↓↓↓↓↓

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ごくたまに、だが過去数回、飲み会でお酒が深くなると、女性の私に男性は次のようなことを聞いてくることがあった。


「女性もオナニーするんでしょう?」


女性だけの集まりで自分の性について口を軽く開いても、マスターベーションには触れてはいけない、マナーとして避けられる。そんなタブーともいえる話題に昼間から公然とふれ、女性の心地よい性へアプローチする試みが今年の8月大阪で催された。


世界中の人々の性生活を豊かにし、人を幸せにするというミッションを掲げる株式会社TENGA
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朝のテレビで取り上げられる程の大盛況

iroha POP UP STORE」は、大丸梅田店の男性スタッフ二人による「1組でも多くの夫婦が愛を深め、夫婦がこれまでもこれからもお互いを想い、幸せに過ごしてほしい」という想いを込めた企画発案だった。


 夫婦には、思いやりがあるから会話が生まれ、会話があるからスキンシップが生まれる。逆に、スキンシップがあるから思いやりができ、思うやりがあるから会話が生まれるというサイクルがある。


 今までの百貨店にはムードを高める商品はあるが、スキンシップに対してダイレクトにアプローチできる商品がなかったので夫婦の愛を深めるためのコンテンツのひとつとして「iroha」を販売することに取り組んだ。


 通常出店に向けて準備期間を約1か月半設けるところ、当企画には4か月も費やすこととなった。懸念通り、次々と現れるネガティブな意見を払拭していった先に手に入れたのは、経営陣直々の「堂々とやりなさい」の一言。期間も通常1週間のところ、倍の2週間に延長することが企画時点で決定した。


 期間限定とはいえ、irohaの冠を掲げた出店は初。店舗設計において「塩梅が難しかった」と担当者は話す。


 「男性のマスターベーションは笑いに変えて話す土壌があるので受け入れられやすいのですが、女性の場合はあからさますぎても隠しすぎてもいけません。


 店舗外観では、irohaにある“和モダン”のコンセプトをベースに、壁は細木を細かく縦に並べて暖簾をたらすことで、店内に人の気配を感じつつも顔は見えないという絶妙な隠し加減と空気感を実現できました。大丸さんも、入りやすいようにと、あえてヤングアダルトという若年層のフロアを選ばれたそうです」


 開店に向けての不安は多い。扱うものの多くはいわゆる大人の玩具で、発信する情報ひとつひとつに受け取り側の反応を想像しなければいけない。


 「私たちも実際に開店してみないとわからないことが多くて……一つ間違えると“なんて破廉恥なものを百貨店で売っているんだ”ってクレーム案件になりかねません。電動のプレジャーアイテムも商品展開していましたが、念のために、大丸で配布する冊子やチラシにはデリケートゾーン用ソープしか掲載していません」


 しかしオープンしてみると、予想以上の反響に。関西ローカルで放映中の読売テレビ系列の朝番組では、店舗の様子、お客様の声、広報の声などを紹介。また朝日新聞など大手新聞社にも取り上げられ、WEBからラジオ番組までショップの存在が広く認知されるようになっていった。


 「まさか夜のアイテムが、朝の番組に露出させてもらえるとは思っていなかったのですが(笑)意外とみなさんに優しく受け止めて頂けて、お店にも多くの方が来店されました。肌感覚ですが、好意的な声が多かったように思えます」

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百貨店だからこそ得られる安心感

目標売上金額100万に対して、総売上は約390万と3.9倍の結果に。2週間と期間が長いものの、大丸梅田店の5階で展開してきたポップアップショップ売上の歴代一位に輝いた。


 平均単価は5000円以上と、ブランド内で最も売れている「iroha stick1296円(以下すべて税込)のほか、和菓子のような見た目の「YUKIDARUMA7344円、「みなもづき」1692円などの高価格帯商品が売れていたことがわかり、驚いたという。


 「当初はデリケートゾーン用ソープが売上の大半を占めるだろうと予想していましたが、蓋を開けてみるとソープが売上の25%、トイが75%を占めていました。


 来店いただいたお客様約1500人の内、8割が女性、1割がカップル、残りの1割は男性でした。irohaのターゲット層である30才付近の女性のお客様が多い中、20代のお嬢さんが50代のお母さまと一緒に来店されていたこともありました」


 男性からパートナーの女性へのプレゼント需要が多かったのも平均単価を上げた要因の一つだろう。ギフトラッピングを充実させていたため、お客様に喜ばれたそうだ。


 「男性一人で来店されてササッと買われる方や、“みんなで行けば怖くない”なのか、複数人でじっくり選んでそれぞれのパートナーに贈られる方々。カップルでいらして、女性自身が購入したり、その場で彼女にプレゼントしたりするケースもありました。あとは女性がお友達の女性に買っていく場面も見かけましたね」


 普段、売上の8割はオンラインショップが占めており、実店舗ではアダルトショップ、もしくはバラエティショップで販売されているが、女性がグッズに手を伸ばすことは難しい。美容とコスメ商品を扱うドラッグストアでも展開があるが、店舗数が限られ、触れる機会が少ない。


 だからこそ「ポップアップショップで購買につながったのは、百貨店という場所柄が大きく関係する」と話す。


 「お客様から、“irohaを知っていたけれども、WEBでは触り心地や大きさがわからず買えなかった”、“大丸だから入りやすい”、“同じ商品でも安心感が違う”といったご意見を頂きました。


 もちろんバラエティショップでも買えますが、そもそも女性がアダルトグッズを買うことは“偏見の目”で見られやすい。普段はひっそりと存在感を消しているものをあえて堂々と見せるディスプレイにしたことも、後押しになったのかもしれません」

女性に向けられる2つの【偏見の目】

 「偏見の目」とは必ずしも、男性からの性的な視線やほかの女性からの侮蔑だけではない。女性、その人自身が感じる「恥」が含まれているというのだ。


 「性欲は食欲・睡眠欲と並ぶ三大欲求の一つで当たり前の欲求なのに、女性が性に能動的になることに対して、外からの偏見の目があります。


 それ以外にも、物心つかない頃から刷り込まれているジェンダーバイアスなのか、無意識に性を毛嫌いしてしまい、自分のプレジャーやセックス行為に罪悪感をもつ女性もいます。男性の性的反応に対する煩わしさと、女性が自分にぶつける負の感情の二つの障害が、女性の性にあるように感じるのです」


 私がこの執筆依頼を受けて真っ先に懸念したのは周囲、特に親戚の反応だ。三十路を越えた既婚者でさえも、この話題は少し重たく感じてしまうのだ。では、TENGAのビジョン「性を表通りに、誰もが楽しめるものに変えていく」ために、この期間限定店を通じてどのように女性たちに語りかけたのだろうか。


 「百貨店にあからさまな男性器を思わせる商品を置いたらひんしゅくを買いますが、生活になじむ、ポップでキュートなデザインであれば、商品を展開する意味合いは違ってきます。


 性にまつわるものすべてが“いやらしい・はしたない・大人のもの”ではありません。なにをどうしたらお客様にとって近づきやすいものになるのか。今回は女性スタッフに相談しながら安心して商品を吟味できる場所を提供することが、女性が自分らしく性を楽しむための第一歩になったかなと思います」
 

TENGA直営店の可能性

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大丸梅田店での成功から社内でも実店舗構想が上がるのではないかと予想したが、どうやら慎重にならざるを得ない。懸念点に西野さんはため息をもらした。


 「弊社のメインブランドTENGAも、ショップインショップのみで直営はありません。直営店になると、今回営業部のプロたちで賄えていた接客を、ゼロから育成しなければいけないため、スタッフ教育についてはシビアに見る必要があります。


 またもう一つ考えられるのが、性的ないたずら。現在、irohaでは『お客様相談センター』を設置して、商品の故障・不具合などの問合せへの電話対応を承っていますが、そちらに既に何件もいたずらされている状況です。女性にぜったい卑猥な言葉を言わせたいおじさんとか……


 私たちは仕事を通して性のリテラシーが身に付いてきたので慣れていますが、新しく入る接客スタッフにも他店にはないストレスをかけてしまうのが大きな懸念材料ですね」


 実店舗化への道のりはまだ険しいが、他店からの引き合いもあり、すでに次に進むべき道は見えているようだ。